肺結核

 肺結核は今、「再興感染症」という呼び名をつけられて、高齢者を中心に再流行の兆しが出始めています。再興という意味は、戦前、戦後などに猛威をふるった感染症で、その後予防接種の普及などで、かなり下火になっていたのに、最近いろいろな理由により、再び大流行の兆しがあるという意味です。世界保健機関(WHO)も肺結核を軽視するのは間違いだ、という警告を発しています。

 日本では、2030年までに結核を撲滅する計画を立てていましたが、最近では患者数の減り方が鈍っており、1996年には、まだ4万2472人の結核患者が発生し、年間死者数も約3000人に昇ります。

 日本では新たな肺結核患者の過半数は60歳以上の高齢者です。高齢者が結核に感染した場合、体力が落ちていることから、合併症が発生したり、また重症化する恐れも高いといわれています。

 高齢者がかかりやすい一方で、若年者での結核の集団発生もみられるようになってきました。1997年には10件の結核の集団発生が報告されています。

 厚生省でも、こうした結核の再燃には注意を払っており、1986年から結核対策特別促進事業を実施しました。その中では、WHOが提唱したDOTSの試行・推進をはかるとしています。DOTSは「短期化学療法による直接監視下治療」という治療法です。この方法によると医師、看護婦などの監視下で患者を完全に治癒まで持っていけると考えられています。

 では、肺結核の症状はどのようなものでしょうか。昔の人なら覚えていることも多いと思いますが、戦後生まれの人には今一つ分からないというのが実情ではないでしょうか。結核菌が肺に感染しても、はじめはほとんど症状が出ません。病気が進行してくると、初めて症状がいろいろ出てきます。

咳とたん:最も起こりやすい症状です。咳はそうひどくありませんが、喉頭や気管支に結核が起こった場合は、激しい咳になります。たんは白いのですが、結核菌以外の細菌が同時に感染することも多く、その場合たんの色もいろいろ変わります。
発熱:ふつうは37℃程度の微熱ですが、寝汗をかくようなこともあります。肺に感染した結核菌が血液で運ばれ他の臓器に感染した場合、粟粒結核といいますが、この場合は高熱が出ます。
その他:全身のだるさ、体重減少も、重要な症状です。

 上記のような症状が特に高齢者に出たら、結核を疑って診察を受けさせるべきでしよう。